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うつ病の治し方と長引く原因|注意すべき生活習慣のポイントも解説
2025.1.8

うつ病の治し方と長引く原因|注意すべき生活習慣のポイントも解説

河田由美子

河田由美子

このコラムの監修医師

大垣宣敬

医療法人社団 紡潤会 理事長・新宿うるおいこころのクリニック 院長。杏林大学医学部卒。患者様中心の医療を心がけながら精神科・心療内科治療に関わっている。  

うつ病の治療を始めたけれども「本当に良くなるの…?」「どうすれば早く改善するんだろう?」と不安に感じていませんか?

うつ病では、気分の落ち込みや興味の喪失など、日常生活に支障をきたすことがあり、適切な治療と対処が必要です。しかし、症状がなかなか改善しないと、焦りや無力感に襲われることもあるでしょう。

この記事では、うつ病の基本的アプローチや治療の流れ、各時期における治し方について詳しく解説します。正しい知識と準備があれば、うつ病の回復をよりスムーズに進めることが可能です。

うつ病の治し方:基本的なアプローチ

 

うつ病の治療方法は、大きく分けて以下の4つです。

  1. 休養
  2. 薬物療法
  3. 精神療法
  4. その他の治療法

厚生労働省の調査によると、うつ病などの気分障害の精神疾患を有する外来患者数は、2002年は68.5万人でしたが、2017年は124.6万人と約1.8倍に増えています。

(出典元:厚生労働省「精神疾患を有する総患者数の推移」)

症状の悪化を避けるためにも、早めに治療を始めることが大切です。

1.休養

うつ病の治療において、重要なことは休養です。うつ病は、脳のエネルギーが枯渇することで引き起こされるため、心身を休ませる時間を持つ必要があります。

休養の方法は、残業を避けるといった軽度なものから、休職して療養するものまでさまざまです。主治医と相談しながら、適切な休養方法を見つけましょう。

2.薬物療法

うつ病の治療には、休養と併行して抗うつ薬などの薬物療法が不可欠です。国内ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)といった抗うつ薬が主に使用されています。

薬物療法は医師の指導の下で適切に行う必要があるため、自己判断での中断や変更は避けましょう。

3.精神療法

精神療法には、主に認知行動療法や対人関係療法があります。うつ病の原因となった出来事を振り返り、再発を防ぐことを目的とした治療です。

認知行動療法

認知行動療法(CBT)では思考パターンや行動を見直し、ネガティブな感情や行動を改善します。

主な流れ

①ネガティブな思考を認識する
②思考が現実に合っているかを検討する
③現実的で前向きな思考に置き換える練習をする

 

ただし、不安や落ち込みなどが強い場合は、物事のとらえ方が大きく歪む恐れがあります。取り組むタイミングは、主治医と相談しましょう。

対人関係療法(IPT)

対人関係療法(IPT)は、人間関係の改善を通じて症状を緩和する治療法です。

主な流れ

①患者が重要と感じる他者との関係を特定する
②対人関係の不和や役割の変化、孤立などの問題を整理する
③問題解決のための行動計画を立てる
④ロールプレイで練習する
⑤実践する

 

このステップを通じて対人関係のスキルを高め、社会的役割の回復や自尊心を取り戻すことを目指します。

4.その他の治療法

うつ病の治療には、他にも運動療法や高照度光療法、修正型電気けいれん療法(ECT)、経頭蓋磁気刺激法(TMS)など、さまざまな補完的な治療法があります。

高照度光療法

高照度光療法は、季節性のうつ病に有効です。網膜に光が届くことで、体内時計を調整するホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられ、目覚めやすくなる効果があります。

修正型電気けいれん療法(m-ECT)

修正型電気けいれん療法は、主に薬物療法の効果が見られない重度のうつ病に対して実施されることがある治療法です。

全身麻酔と筋弛緩剤を使用し、脳に短時間の電気刺激を与えます。脳内の神経伝達がリセットされ、症状の改善が期待できます。

経頭蓋磁気刺激法(TMS)

経頭蓋磁気刺激法(TMS)は、脳の特定部位を刺激してうつ症状を和らげる、体に負担をかけない治療法です。

福岡天神メンタルクリニックでも、経頭蓋磁気刺激法(TMS)をうつ病の治療法のひとつとして提案しています。経頭蓋磁気刺激法(TMS)のほかにも治療法の選択肢を増やしたい方は、ぜひ福岡天神メンタルクリニックにご相談ください。

 

うつ病の治し方:治療の流れ

うつ病の治療は、大きく以下の3つの段階に分けて進められます。

  1. 急性期の治療
  2. 回復期の治療
  3. 再発予防期の治療

ここでは、それぞれの時期の治療の流れについて見ていきましょう。

1.急性期の治療

急性期はうつ病の症状が重い時期であり、診断後の最初の約3カ月を指します。

急性期の治療の中心は、主に薬物療法と休養です。

抗うつ薬を服用し、症状の改善を目指す段階であり、治療の基盤を築く時期です。

2.回復期の治療

回復期は、急性期後の4〜6カ月くらいの時期で、症状は徐々に改善し始めます。回復期は引き続き薬物療法を継続しながら、社会復帰に向けた準備やリハビリが進められます。

3.再発予防期の治療

再発予防期はうつ病の症状が安定し、再発を防ぐための治療が行われる1〜2年目の時期です。再発のリスクを軽減するために、継続的な薬物療法と生活習慣の改善が重視されます。

うつ病の治し方:急性期・回復期・再発予防期のポイント

ここでは、それぞれの時期の治療ポイントを解説します。

  1. 急性期の治し方のポイント
  2. 回復期の治し方のポイント
  3. 再発予防期の治し方のポイント

ひとつずつ見ていきましょう。

1.急性期の治し方のポイント

急性期は、抗うつ薬の効果が現れるまで焦らず待つことが大切です。薬の効果を引き出すためには、医師の指示に従い規則正しく服薬しましょう。

ストレスから離れ、休息することが治療のポイントです。仕事の調整や休職も検討し、日常生活の負担を減らすことが治療効果を高めることにつながります。

2.回復期の治し方のポイント

回復期は無理をせず焦らないことが大切です。日常生活に少しずつ戻るための軽い運動や作業を取り入れていきましょう。医師や看護師と相談しながら、自分のペースを見つけることがポイントです。

また、回復期は精神療法の一環として、認知行動療法(CBT)が導入される場合があります。定期的なカウンセリングを受けて気づいた点を、生活の中で実践することで治療効果が持続します。

3.再発予防期の治し方のポイント

薬物療法の継続は、再発予防の鍵です。症状が安定している状態でも、定期的な診察は欠かせません。

また、食事・睡眠・運動などの生活習慣を整え、再発リスクを減らすことが重要です。生活の質を高め、家族や友人のサポートを受けながら、生活習慣を維持することが再発防止につながります。

うつ病治療中に注意すべき3つの生活習慣

うつ病の治療中に注意すべきことは、主に以下の3つです。

  1. 生活リズムを整える
  2. バランスの良い食事を摂る
  3. 気分転換を取り入れる

ひとつずつ見ていきましょう。

1.生活リズムを整える

規則正しい生活リズムは、うつ病の回復において基本です。毎日同じ時間に起床・就寝することは、体内時計を安定させ、心身のリズムを整えます。

また、適度な運動は脳内のセロトニンの分泌を促し、気分を安定させる効果があります。例えば、ヨガや軽いストレッチなどは、無理なく体を動かしリフレッシュできるため、取り入れてみると良いでしょう。

2.バランスの良い食事を摂る

うつ病の治療中は食欲が低下することもありますが、栄養バランスの良い食事を摂ることを心がけてください。食事を楽しむと心に余裕を生み出され、精神的な安定を図ることにつながります。

3.気分転換を取り入れる

うつ病の治療中は、適度な気分転換を日常に取り入れることも大切です。趣味やリラクゼーションは、ストレスの軽減に効果があるため、ご自身が心地良いと感じる活動を見つけましょう。

無理のない範囲で楽しめることを取り入れてみてください。研究によると、自然の中の散歩がストレスを軽減し、気分をリフレッシュする効果があることが確認されています。

(出典元:Morita et al. (2007). Effects of forest environments on adults.

生活習慣を意識して整えることが、うつ病の回復をサポートします。

うつ病が長引く4つの原因と対策

うつ病は半年から1年で改善が期待できますが、症状が長引くケースも少なくありません。主な原因として、以下の4つが挙げられます。

  1. 主治医と相性が悪い
  2. 自己判断で服薬を中断する
  3. 休息できていない
  4. うつ病以外の病気である可能性もある

自分の状況に該当するかどうか、確認してみてください。

1.主治医と相性が悪い

うつ病の治療は、主治医との信頼関係が重要です。良好なコミュニケーションが取れない場合、適切な治療が受けられず症状が長引く可能性があります。

例えば、患者が治療方針に不安があるにもかかわらず、主治医に上手く伝えられないと、不信感から途中で治療を止めてしまうこともあるでしょう。

主治医に伝えにくい場合、別の医師に相談したり他のクリニックの受診を検討したりするのも方法のひとつです。

2.自己判断で服薬を中断する

自己判断で服薬を中断すると、うつ病が長引く原因になりかねません。抗うつ薬の効果が現れるまでには2週間程度かかるため、主治医の指示に従って一定の期間継続することが大切です。

また、抗うつ薬を突然中止すると、離脱症状が現れることもあります。離脱症状とは、薬を急に止めたときに体や心に現れる不調のことで、治療の遅れや症状の悪化につながる恐れがあります。服薬に関する不安がある場合、必ず主治医に相談し、適切な指導を受けるようにしましょう。

3.休息できていない

休息が不足すると、うつ病の治療が長引く原因になる可能性があります。

仕事や家庭でのプレッシャーが強い場合、ストレスが治療の妨げになり、うつ病が改善しにくくなります。必要に応じ仕事を休んだり、家事の負担を軽減したりする対策を講じましょう。

4.うつ病以外の病気である可能性もある

うつ病と診断された場合でも、他の精神疾患や身体疾患が原因であることも考えられます。例えば、双極性障害や統合失調症、甲状腺機能低下症などです。

長期間にわたって改善が見られない場合は、専門医の診断を受け、必要に応じて追加の検査を行うことも重要です。

うつ病になりやすい人の4つの特徴

うつ病になりやすい人には、いくつかの共通した特徴が見られます。具体的には、以下のとおりです。

  1. 責任感が強い
  2. 完璧主義
  3. 悲観的な思考傾向
  4. 他者に気を遣い過ぎる

自分の傾向に当てはまるかどうか、確認してみましょう。

1.責任感が強い

責任感が強い人は、仕事や家庭での期待に応えようと過度に努力しがちです。自分の感情やニーズを後回しにする傾向があり、無理をしてでも相手に合わせようとします。

他者に気を遣い過ぎることで、知らず知らずにストレスを蓄積し、自分を追い詰めてしまいかねません。自己犠牲的な行動が続くと、心身のバランスを崩し、うつ病を発症するリスクが高まります。

2.完璧主義

完璧主義の人は、自分や他人に対して高い基準を設定し、小さなミスも許容できない傾向があります。日常生活での失敗や不完全な結果に対して強い自己批判を招き、精神的な疲弊によりうつ病のリスクが増大するため、注意が必要です。

3.悲観的な思考傾向

悲観的な人は物事をネガティブに捉えがちで、未来に対しても否定的な見通しを抱くことが多いです。

研究によると、ポジティブな出来事に対しても悲観的に捉える傾向がある人は、自己嫌悪や無力感が強化され、うつ病の発症や悪化の要因となると示唆されています。

(出典元:Gordeeva, T., & Sychev, O. (2021). Pessimistic attributional style for positive life events as a predictor of low mental health in Russian sample. European Psychiatry, 64, S335-S336.

うつ病の治し方についてのよくある質問

ここでは、うつ病の治し方についてのよく寄せられる質問に対する回答をまとめました。

Q:薬なしでうつ病を自力で治す方法はありますか?

A:軽度から中等度のうつの場合は、認知行動療法や運動療法などが効果的な場合もあります。しかし、個々の状況により異なるため、医師と相談しながら進めることが推奨されます。

Q:家族としてどう本人に接するべきかわかりません

A:うつ病は医学的な疾患であることを理解し、辛さに共感することが大切です。無理に励ましたりせず、患者のペースを尊重しましょう。

また、家族自身も専門家に相談し、適切なサポートの方法についてアドバイスを受けることが推奨されます。

まとめ

うつ病は適切な治療と生活習慣の見直しによって回復が期待できる疾患です。福岡天神メンタルクリニックでは、患者様一人ひとりの悩みに寄り添ってお話をお聴きします。

症状が長引いている方や治療に対する不安がある方は、お気軽にご相談ください。専門医が、適切な治療法をご提案します。

当院の受診方法は、こちらをご確認ください。

 

このコラムを執筆した人
河田由美子

看護師として心療内科・精神科病院に10年間勤務。メンタルケアやストレスマネジメントの知識と経験が豊富。薬機法・医療法(YMAA)・景品表示法・特定商取引法(KTAA)認証資格を保有しており、法的知見を活かした医療ライティングが強み。科学的根拠に基づいた正しくわかりやすい執筆により、信頼性の高い記事作成を心がけている。SEO対策や医療広告ガイドラインを遵守した執筆実績も多数。

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