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強迫性障害の症状とセルフチェック|なりやすい人の特徴や治療法も解説

強迫性障害の症状とセルフチェック|なりやすい人の特徴や治療法も解説

高橋彩夏

高橋彩夏

このコラムの監修医師

大垣宣敬

医療法人社団 紡潤会 理事長・新宿うるおいこころのクリニック 院長。杏林大学医学部卒。患者様中心の医療を心がけながら精神科・心療内科治療に関わっている。  

「鍵を閉めるのを忘れてしまったのではないか」などと心配になり、確認してしまう経験がある人は多いものです。

確認する頻度が少なければ問題ありませんが、頻繁に確認しないと不安でたまらない場合や、一つの考えや行為に強く固執して、日常生活や人間関係で困りごとがある場合は、強迫性障害を疑いましょう。

今回は、強迫性障害でみられる症状やセルフチェックリスト、精神科・心療内科での治療法などを紹介します。

強迫性障害とは

強迫性障害は、自分でも馬鹿馬鹿しいことだと思っていながらも、自分の意に反して不快な考えがくり返し頭に浮かび、抑えようとしても抑えられない病気です。くり返し浮かぶ考えを打ち消すために、無意味だとわかっている行為を何度もくり返さないと心が落ち着きません。

10代~20代で発症することが多いといわれていますが、発症してから受診するまでの期間が比較的長く、中年以降に初めて医療機関を受診するケースも多くみられます。

強迫性障害を発症する人の割合は2%~3%といわれており、男女比は半々です。うつ病やパニック障害、社交不安障害との併発が多くみられます。

強迫性障害の症状

強迫性障害の症状は、強迫観念と強迫行為の2種類に分けられます。強迫観念とそれにともなう強迫行為で、毎日の生活や社会生活に悪影響が出たり、心身が疲労したりするのです。

その結果、危険や不安から逃げる「回避行動」が強まってしまいます。また強迫性障害が重症化すると、周囲の人にも自分のこだわりを強要するようになり、人間関係がうまくいかなくなることもあるでしょう。

ここからは、それぞれの症状について詳しく解説します。

強迫観念

強迫観念とは、馬鹿げたことだと理解しているのに、頭から離れない考えをさします。ある特定の対象物に対して、きわめて強い不安感や恐怖感を抱く思考です。

考えたくもない不快な考えが、自分の意思に反してくり返し浮かんできて、おかしいと思いながらも考えることを抑えられません。

強迫観念の例
・手が汚れているのではないかと気になって仕方ない
・家の鍵を閉めたかどうかが不安でたまらない
・家族が死んでしまうのではないか
・いつもと違う順序で物事を進めると、不幸が降りかかるかもしれない

 

強迫行為

強迫行為は、強迫観念から生じるおそれや不安にかき立てられておこなう行動です。しつこく頭に浮かんでくる不快な考えを打ち消して、安心するためにおこないます。自分でも意味がないことだと理解しているのに止められません。

強迫行為をくり返すことで、時間や労力を消費してしまって、疲れきって自宅から一歩も出られない状態になるなど、日々の生活がままならなくなるケースもあります。

ここからは、具体的な行為について詳しくみていきましょう。

不潔恐怖・洗浄

「自分は汚れているのではないか」「細菌に汚染されていたらどうしよう」という心配や恐怖によって、必要以上に手洗いや入浴、洗濯をおこなってしまう状態です。

また「汚れていて、自分にも悪い細菌がうつるかもしれない」とおそれて、ドアノブやつり革などに触れられない状態も当てはまります。

加害恐怖

加害恐怖があると、実際はそうではないと理解しているのに「自分が誰かをひどく傷つけてしまったかもしれない」というおそれが脳裏に浮かんで離れません。そして、事故や事件としてテレビや新聞で報道されているかどうかをチェックしたり、周囲の人や警察に尋ねたりします。

たとえば、車や自転車を運転しているときに「誰かを引いてケガさせてしまったかもしれない」と不安になり、車を止めて確認するために目的地への到着が遅れることが挙げられます。

確認行為

確認行為は、戸締りやガスの元栓などが気になり、何度も確かめる症状です。対象物をじっと見張ったり、何回も指さし確認をしたりします。

待ち合わせや出勤などの本来の目的を後回しにして、外出する前に時間を要したり、施錠やガスの元栓を確認する目的で帰宅したりすることもあるでしょう。

儀式行為

儀式行為では「自分が定めた手順で物事をおこなわないと、とんでもないことが起こってしまう」という不安を抱き、行動にうつします。そして、どんなときでも自分が決めた手順で仕事や家事をすることになり、周りの人が驚くほどのこだわりをみせるでしょう。

一度手順を間違えると、同じ動作を初めからやり直さずにはいられなくなり、行為そのものに多くの時間を割くため、日常生活に悪影響を及ぼします。

数字へのこだわり

ラッキーナンバーや不吉な数字など、縁起の良し悪しに限度を超えて固執してしまう方がいます。また、自分が望む数字を選べなかったときや、不吉だと感じる数字に出会うと、強いおそれを感じるでしょう。

たとえば「4」や「9」が病院の番号札に書いてあった場合、どうしても不安が募り、変えてもらおうとします。

物の配置や対称性に対するこだわり

家具や小物などが正しい位置にあるか、左右対称に置かれているかに対して、限度を超えたこだわりをもっている状態です。また、必ず決めたとおりでないと不安になります。

物の位置がいつもと違っていたり、置き場所が変わっていたりすると、必ず戻そうと躍起になり、多くの時間を必要としてしまうのです。

強迫性障害になる原因

強迫性障害になる原因は、明確になっていません。要因は一つではなく、以下に示すさまざまな要因が組み合わさっている可能性があると考えられています。

原因の例
・いじめや不登校、ハラスメントなどの環境的要因
・性格や気質などの心理的要因
・遺伝や女性ホルモンの変化などの生理的要因

 

ほかにも、脳の特定部位の障害や、セロトニンの機能異常も関わっていると示唆されています。また、妊娠や出産といったライフイベントがきっかけになる傾向も。また強迫性障害にかかる人は、過保護な母親をもつことを示す研究結果もあります。

強迫性障害になりやすい人の特徴

強迫性障害を発症する人は、以下の特徴に当てはまることが多くあります。

発症しやすい人
・几帳面
・完璧主義
・こだわりが強い
・責任感がある
・融通が利かない
・感情のコントロールが難しい
・ストレス耐性が低い

 

こういった性格の方は、仕事や人間関係でのストレスを感じやすいため、強迫性障害を発症しやすいでしょう。また、物事に対してネガティブな感情を持ちやすかったり、回避してしまう行動パターンをとってしまったりする場合も、強迫性障害と関係があります。

ほかにも、虐待などのトラウマによって強いストレスを受けた際にも、発症しやすいでしょう。また、発達障害やチック障害の方に合併しているケースが多くあります。

強迫性障害のセルフチェックポイント

ここからは、強迫性障害の可能性をセルフチェックする項目を紹介します。

チェック項目①
①何度も頭に浮かぶ考え方に悩まされている
②何度もくり返したり、特別な方法でおこなわないと気がすまなかったりする行動がある

 

1、2両方に当てはまり、以下の条件にもすべて当てはまる場合は、強迫性障害の可能性を疑いましょう。

チェック項目②
・一つの考えや行為に固執している
・固執したくないのに、どうしてもやめられない
・こだわりが自分にとって望ましくない内容であり、不快感がある
・自分が固執している考えが正しいという確信はない
・あくまでも自分の考えであり、他人の支配によるものではないと理解している
・不快な考えや行動のために、生活習慣や仕事、人間関係に悪影響が出ている

 

チェック項目を見て「自分は強迫性障害の可能性がある」と思った方は、不安を抱え込まずに、精神科や心療内科で悩みを相談してみてください。

 

強迫性障害で精神科・心療内科を受診する目安

日常生活における不安やこだわりは誰しももっているものです。しかし、日々の生活や人間関係に影響が出ている場合は、強迫性障害の治療が必要かもしれません。

ここから紹介する受診の目安を参考にしてください。

日常生活に支障が出ている

強迫行為に時間を使ってしまい、睡眠時間がなくなったり、エネルギーが枯渇し疲れきったりする場合は、受診の目安になります。また、強迫行為や回避行動によって、スケジュールや周囲の人との約束を守れない場合も、病院で相談するのがよいでしょう。

周囲の人が困っている

周囲の人を自分の過度な不安や、こだわりで困らせてしまっている場合は、医療機関で相談してみましょう。たとえば、戸締りや手洗いをしたかどうかを周りに頻繁に確認したり、物を置く順番を強要したりするケースが挙げられます。

強迫性障害の診断基準

強迫性障害の診断基準は、WHOが定めるICD-10と、アメリカ精神医学会が定めるDSM-5の2つがあります。ここからは、それぞれの診断基準についてみていきましょう。

ICD-10

強迫性障害を確定診断するには、強迫症状もしくは強迫行為、またその両方が少なくとも2週間連続してほとんど毎日あり、生活に支障をきたしていたり、苦痛を感じたりする必要があります。強迫症状は、以下の特徴をもっています。

  • 強迫症状は、患者自身の思考あるいは衝動として認識されなければならない
  • もはや抵抗しなくなったものがほかにあるとしても、患者が依然として抵抗する思考あるいは行為が、少なくとも1つなければならない
  • 思考あるいは行為それ自体が楽しいものであってはならない(緊張や不安の単なる低減は、この意味で楽しいとはみなされない)
  • 思考、表象あるいは衝動は、不快でくり返すものでなければならない

この基準では、患者自身が強迫症状をつらい衝動として認識していることと、強迫行為そのものが楽しいものではあってはならないと、依存の症状と区別していることが重要です。

DSM-5

DSM-5では、以下の基準のどちらかを満たすと強迫性障害と診断されることがあります。

  1. 強迫観念または強迫行為に1日1時間以上費やしている
  2. 社会的、職業的または、ほかの重要な領域における機能の障害を引き起こしている

さらに、病識(自身が病気だと自覚すること)の程度によって3つに分類されます。

  • 「ガスの元栓を確認しなくても、多分家は全焼しない」といった病識が十分な状態
  • 「30回確認しないと、家が全焼してしまうだろう」という病識が不十分な状態
  • 「30回確認しないと、家は必ず全焼する」といった病識が欠如しており、妄想的な信念がともなう状態

強迫性障害の治療法

強迫性障害の治療法は、薬物療法と認知行動療法です。これらを併用することで、より改善効果が期待できるといわれています。ここからは、それぞれの治療法について詳しく紹介します。

薬物療法

強迫性障害の薬物療法で最も使われるのが、SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬です。SSRIは即効性に欠け、有効用量を飲み始めてから効果が発現するまで最短2~3週間かかります。

しかし、効き始めれば十分効果が続き、依存性も低い薬です。SSRIは、吐き気や口の乾き、下痢や便秘などの副作用が出ることがあります。ほかにもSSRIに加えて、抗精神病薬を使用することもあるでしょう。

認知行動療法

強迫性障害には、認知行動療法が効果的です。なかでも、暴露反応妨害法という手法が最もよく用いられます。

暴露反応妨害法とは?
不安を引き起こす対象に、軽い刺激のものから段階的に直面し、強迫行為をおこなわないように我慢する方法

 

これには、不安のレベルが強いものから弱いものへと並べた不安階層表が用いられます。

たとえば、不潔恐怖がある場合「汚れているかもしれない」という強迫観念に打ち勝って「自室のドアノブに触っても手を洗わないで我慢する」というハードルの低い課題から慣れていき「電車のつり革を触っても手を洗わない」といったレベルが高い課題にも取り組んでいくのです。

最初は強い不安を感じ、強迫行為をすることもありますが、くり返すことで不安が和らいでいきます。

強迫性障害の患者をサポートする方法4選

懸命に病気と向き合う強迫性障害の方を、どのようにサポートすればよいのか迷うかもしれません。ここからは、家族や周囲の人におすすめのサポート法を紹介します。

症状を理解する

サポートをするにあたって、強迫性障害の症状や原因を詳しく知ることが大切です。今の思考回路や悩んでいること、強迫性障害を発症したきっかけなどを理解することで、誤解や偏見を避けられるでしょう。

また、症状の理解により、患者との信頼関係の構築にもつながります。病院の受診に付き添ったり、治療の相談に乗ったりすることで、患者を手助けできるでしょう。

根気よく見守る

患者のつらい気持ちを理解しつつ、根気よく見守ってあげましょう。患者は「他人に迷惑をかけたくない」という気持ちから、相談したり、助けを求めたりするのが難しいと感じることもあります。

無理に話を聞き出そうとせずに、いつでも話を聞く態勢でいることを示しましょう。

かける言葉に気をつける

強迫性障害の人にかける言葉に配慮することも大切です。悩んでいる症状に対して「甘えじゃない?」「気にしすぎだよ」「もっと頑張れるよ」などの言葉をかけるのは、プレッシャーにつながります。

また「なぜやめられないの?」といった質問も、症状を悪化させるおそれがあるため、注意しましょう。本人の症状に対する嫌悪感や恥ずかしい気持ちを助長する言葉を避けて「悩んでいることがあれば話を聞くからね」と優しく寄り添う言葉を使ってください。

強迫行為を無理やり止めない

強迫行為を無理やり止めるのは控えましょう。なぜなら無理やり押さえつけられると、余計に動きたくなったり、不安感が増したり、パニックになったりするからです。

心を開けずに自分の殻に閉じこもり、周囲の人のサポートや治療を拒絶する可能性があります。症状が改善されるのを、根気よく待ってあげましょう。

まとめ

強迫性障害の症状は、強迫観念と強迫行為の2種類に分けられます。日常生活に支障を来たしたり、周りの人に迷惑をかけたりしている場合は、病院での治療をおこないましょう。

また強迫性障害に関する悩みがあっても、ほかの病気の可能性もあったり、二次障害で新たな障壁が生まれていたりと、一人で解決するのが難しい場合があります。

福岡天神クリニックでは、カウンセリングで患者様一人ひとりに寄り添い、診断や治療方法の提案で問題解決に向けてサポートします。強迫性障害が重症化して、日常生活への困りごとが増える前に、ぜひ相談ください。

 

このコラムを執筆した人
高橋彩夏

薬剤師ライター。大学卒業後、大学病院薬剤部に就職。その後調剤薬局に転職し、婦人科や精神科・心療内科、糖尿病内科、腎臓内科の門前で勤務。「関わる人の生活の質を上げる」をモットーに、現在は薬局薬剤師として勤務しつつ、医療系メディアを中心に活動中。女性の健康や精神科・心療内科に関する執筆を得意とする。

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