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双極性障害(躁うつ病)とは

双極性障害の種類
双極性障害には「双極I型」と「双極II型」の2パターンがあります。双極I型では躁状態とうつ状態を激しく繰り返し、双極II型では軽い躁状態(軽躁状態)とうつ状態を繰り返します。双極性障害(躁うつ病)の症状
双極性障害の特徴的な症状には、「躁状態」と「うつ状態」の2つがあります。躁状態では、非常に活発でエネルギッシュな状態が続き、衝動的な行動やリスクの高い行動が増えるのが特徴です。一方、うつ状態では気分が非常に落ち込み、活動意欲が低下し、集中力の低下や絶望感が見られます。 双極性障害は重症化するほど、長期間にわたって治療をしなければ治らない状態となる場合もあります。可能性を感じた際には、すぐに心療内科・精神科のような専門機関で治療を始めることをおすすめします。双極性障害(躁うつ病)の治療法・対処法
双極性障害を改善させるためには、適切な休息を摂った上で治療や対処を行う必要があります。また、複数の治療法を併用することで、双極性障害改善の効果を促進できることも。福岡天神メンタルクリニックでは、患者さんのご要望に合わせた治療法が見つけられるよう、選択肢として様々な治療法をご提案できます。その具体的な治療内容について説明します。最初に、適切な休養が最も大切です
双極性障害を改善して完治させるためには適切な休養が必要不可欠です。双極性障害発症の原因となったストレス源から距離を置くことで、しっかりと心を休めながら治療に専念することで、より早く元気になれる可能性が高まります。 「働かなければ生活ができない…。」と不安な方は、地方自治体などが提供する自立支援医療制度や、精神障害者福祉手帳の交付により得られる福祉サービス、休業手当・病床手当の申請などを活用すると良いでしょう。 福岡天神メンタルクリニックでは、会社への休業申請や福祉制度の申請に有効な診断書を最短で即日発行しております。初診・再診に関わらず当日予約も受付中です。今解消したいあなたのお悩みを解消しませんか?お気軽にご相談ください。 ※患者さんの状態や通院状況によっては当日に発行できない場合があります。治療法1. 薬物治療

薬物治療には主に気分安定薬が用いられ、抗躁薬や抗てんかん薬、抗精神病薬などが含まれます。気分安定薬は、躁状態やうつ状態の波を抑え、症状の再発を防ぐことを目的としています。適切な薬を使用することで、症状のコントロールが期待できます。具体的な薬の種類や効果、副作用については、以下の通りです。
【抗躁薬】
炭酸リチウム(リーマス®)
効果概要 | 双極性障害の第一選択薬として広く用いられています。PI(ホスファチジルイノシトール)代謝回転の抑制による細胞内イノシトール減少などが関与すると考えられていますが、作用機序は不明です。複合的に中枢神経に作用し感情の高まりや行動を抑え気分を安定化する作用をあらわすと考えられています。治療域と中毒域が近いため、定期的な血中濃度の測定が必要になります。 |
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副作用 | めまい、ねむけ、言語障害、のどの渇き、吐き気・嘔吐、下痢、食欲不振、胃部不快感、多尿、手のふるえ、脱力・倦怠感など |
【抗てんかん薬】
カルバマゼピン(テグレトール®)
効果概要 | Na+チャネルを遮断することにより、大脳神経細胞の過剰興奮を抑制します。 |
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副作用 | 眠気、めまい、ふらつき、けん怠・易疲労感、運動失調(運動の調子が狂った状態)、脱力感、発疹、頭痛・頭重、立ちくらみ、口渇(喉が渇く)、血管浮腫(顔、舌、喉の腫れ)、かゆみなど |
【抗てんかん薬】
バルプロ酸ナトリウム(デパケン®)
効果概要 | T型Ca2+チャネル遮断作用により、興奮シグナルを抑制します。また、GABAトランスアミナーゼ阻害により、GABAの分解を抑制することで抑制シグナルを増強します。 |
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副作用 | 傾眠、失調(手足の運動がうまくできない)、頭痛、不眠、不穏(落ち着かないこと)、視覚異常、吐き気・嘔吐、食欲不振、胃部不快感、便秘、発疹、夜尿・頻尿、けん怠感、鼻血など |
【抗てんかん薬】
ラモトリギン(ラミクタール®)
効果概要 | Na+チャネルを遮断することにより、大脳神経細胞の過剰興奮を抑制します。催奇形性が低いため、妊娠の可能姓がある女性に使いやすいという特徴があります。 |
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副作用 | 発疹、傾眠、めまい、胃腸障害(吐き気・嘔吐、下痢など)など |
【抗精神病薬】
オランザピン(ジプレキサ®)/
クエチアピン(ビプレッソ®)
効果概要 | 多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)の1つです。神経伝達物質のドパミンやセロトニンなどの多種類の受容体に作用することで、幻覚、妄想、感情や意欲の障害などを改善する薬です。糖尿病の方は服用できません。 |
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副作用 | 傾眠、体重増加、不眠、アカシジア(じっとしている事ができない)、口渇、倦怠感、便秘など |
【抗精神病薬】
アリピプラゾール(エビリファイ®)
効果概要 | ドパミン受容体部分作動薬(DPA)であり、ドパミン神経のバランスを調整します。 |
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副作用 | 不眠、神経過敏、不安、傾眠、アカシジア(じっとしていることができない)、振戦(手足の震え)、流涎(よだれが出る)、体重増加など |
【抗精神病薬】
ルラシドン(ラツーダ®)
効果概要 | セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)であり、過剰なセロトニンとドパミンの働きを抑えます。 |
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副作用 | アカシジア(じっとしていられない)、吐き気、眠気、頭痛、不眠症など |
参考文献:
松崎朝樹.”精神診療プラチナマニュアル 第3版”.株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナル.2024年3月28発行
参考文献:
姫井昭男.”精神科の薬がわかる本 第4版”.株式会社 医学書院.2019年10.15第4版第2刷
参考文献:
岡庭豊.”薬が見えるvol.1 第1版”.医療情報科学研究所.平成29年11.10 第1版第6刷
参考文献:
”双極性障害(躁うつ病)”.こころの情報サイト
治療法2. 精神療法

公認心理師・臨床心理士によるカウンセリング|認知行動療法
双極性障害治療としての認知行動療法は、人々の思考や行動が感情や心理的な問題にどのように関連しているかを把握し、双極性障害につながる考え方の癖を改善する治療法です。 双極性障害に悩んでいる人は、否定的な思考や行動パターンを持ちがちです。例えば、自己否定的な考え方、無力感、希望の喪失などの癖をポジティブな捉え方に変えていくことで、うつ状態のきっかけとなる後ろ向きな思考の連鎖から抜け出すことを目指します。自分の考え方を変えるには、まず自分を理解し受け入れることが大切です。「今ここにある自分」を意識して現実を受け入れながら、感情に左右されない心を養うマインドフルネスの考え方を取り入れることで、双極性障害の再発を防ぐのに効果的です。 福岡天神メンタルクリニックで実施する認知行動療法は、公認心理師や臨床心理士といった専門家によるカウンセリングを通して実施します。ご希望される方は、来院時にスタッフへお声がけください。双極性障害(躁うつ病)セルフチェック
- 自分が偉くなったように感じることがある
- 強い解放感や高揚感を1日中かつ4日以上のスパンで続けて感じることがある
- 寝不足なのに元気だ
- 人と関わりたくてしょうがない気分がある
- 衝動買いやギャンブルなどで頻繁に後悔する
- 気分が大きくなってイライラする日がある
- 最近、集中力が途切れてしまう
※このリストはあくまで参考情報であり、適切な診断や治療は医師の相談が必要です。
これらの症状が2つ以上当てはまり、2週間以上毎日のように繰り返されていたり、普段の生活に支障があったりする場合には、双極性障害の可能性があります。双極性障害かもしれないと感じた際には、早期発見・治療のためにも迅速に医療機関へ相談することをおすすめします。
医療機関を受診することで、双極性障害の診断が正式に確定します。精神疾患の診断に対して不安やマイナスな印象を受ける方もいますが、病院で双極性障害の診断を受けることにはしっかりとしたメリットがあります。
病院で双極性障害の診断を受けるメリット
医療機関で双極性障害の診断を受けた場合、適切な治療計画を練ることで早期改善が期待できると共に、健康状態に合わせた行政や地方自治体などの公的機関によるサポートを受けられる場合があります。例えば、病院へ行かず自己判断で仕事を休み始めてしまった場合、休業手当や病床手当を申請しても診断を受けた日からしか支給されず、休んだ日数分の満額を受け取ることはできません。 また、双極性障害の診断書を用いて精神障害者保健福祉手帳を発行すると、就労支援や医療費控除を受けられます。 このように病院で双極性障害の診断を受けることで、様々な行政的サポートを受けられるようになります。双極性障害(躁うつ病)の症状を伴う精神疾患のサポート支援
福岡天神メンタルクリニックでは、双極性障害の症状を伴う精神疾患のサポート支援として社会復帰の先駆けとして有効なリワークへの紹介状や、行政のサポートを受けるために有効な診断書の発行を実施しております。このような、精神病に対するサポート支援についての詳細をご紹介します。サポート1. 職場復帰・就労支援

サポート2. 休職や復職に必要な診断書を最短で即日発行!すぐに受け取れるので安心

サポート3. 休業・傷病手当や精神障害者保健福祉手帳などの申請もサポート

参考文献:
厚生労働省「休業手当について」
参考文献:
厚生労働省「福祉・介護障害者手帳」
双極性障害でよくある質問
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双極性障害(躁うつ病)の行動にはどのような特徴がありますか?
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双極性障害(躁うつ病)の行動の特徴としては、気分が常に高ぶったり、落ち着きがないことが挙げられます。話し続ける傾向があり、注意が散漫で衝動的な行動をとりがちで、イライラしやすく怒りっぽいこともあります。
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双極性障害(躁うつ病)の人が注意すべきことは何ですか?
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双極性障害(躁うつ病)の人が避けるべき行動には、夜更かしや徹夜が含まれます。徹夜は生活リズムを乱し、躁状態を引き起こしやすくなります。また、時差のある旅行も生活リズムを崩す原因となるため、旅行前には主治医と相談することが必要です。
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双極性障害(躁うつ病)を見分ける方法はありますか?
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双極性障害(躁うつ病)の特徴として、「持続する高揚感」「睡眠不足でも元気」「自分が偉いと感じる」「何でもできると思う」「多弁」「イライラしやすく怒りっぽい」などがあります。ただし、これらの特徴だけで自己診断するのは非常に危険です。必ず専門医による診察を受け、適切な治療を行いましょう。詳細は、ご予約時にお問い合わせください。