「夜中に何度も目が覚めてしまう」
「朝までぐっすり眠れない」
と悩んでいませんか?
中途覚醒は多くの人が経験する睡眠障害の一つで、日中の疲労感や集中力の低下を引き起こします。しかし、原因を理解し、適切な対策を取ることで改善が可能です。
この記事では、中途覚醒の主な原因、改善するための対策を詳しく解説し、快適な睡眠を取り戻すためのヒントをお伝えします。
目次
睡眠障害による中途覚醒が起きる理由
中途覚醒とは、夜中に何度も目が覚めてしまう症状のことです。熟睡できないため、日中の疲労感や集中力の低下が見られることが多く、生活の質にも影響します。
中途覚醒の原因は、生活習慣や心理的要因、身体的な問題などさまざまです。特に、ストレスや不安、飲酒、加齢に伴う身体の変化が大きな要因となることがあります。
睡眠障害による中途覚醒の主な7つの原因
ここでは、睡眠障害による中途覚醒の原因について詳しく解説します。原因は、主に以下の7つです。
- ストレスや不安
- アルコール摂取
- 睡眠時無呼吸症候群
- うつ病などの精神疾患
- 夜中に何度もトイレに行く
- むずむず脚症候群
- 加齢による影響
ひとつずつ見ていきましょう。
1.ストレスや不安
ストレスや不安は、中途覚醒の大きな要因です。日常生活での心配事や緊張状態が続くと、寝つきだけでなく眠りの質にも悪影響が出て、夜中に目覚めやすくなります。
ストレスが持続するとコルチゾールというストレスホルモンが過剰に分泌され、深い眠りを妨げます。例えば、以下のような生活の変化がストレスの原因になるでしょう。
・経済的な不安
・転職など大きなライフイベント
精神的な不安が続くと、睡眠障害が慢性化する場合があるため、早目に対応することが重要です。
2.アルコール摂取
アルコールにはリラックス効果があり、寝つきやすくなる一方、睡眠の後半に悪影響を及ぼします。
飲酒後に体内の水分が排出されやすくなるため、夜中にトイレに行きたくなります。飲酒によって、睡眠が中断された経験がある方は少なくないでしょう。
また、アルコールが肝臓で分解されると、アセトアルデヒドという物質が生成されます。アセトアルデヒドが体内に蓄積すると交感神経が刺激されるため、心拍数が増加し体が覚醒状態になりやすいです。
さらに、アルコールは睡眠サイクルを乱し、深い眠りであるレム睡眠の時間を短くするため、結果的に睡眠の質が低下し中途覚醒を引き起こします。
3.睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、夜中の中途覚醒を引き起こす深刻な原因の一つです。睡眠時無呼吸症候群になりやすいのは、以下のような人です。
・中高年
・飲酒習慣がある
睡眠中に呼吸が一時的に停止するため脳が酸素不足を感じ、何度も目覚めてしまいます。呼吸が停止されると睡眠が断続的になり、日中の疲労感や集中力の低下につながります。
無呼吸症候群が疑われる場合は専門的な治療が必要なため、早目に医療機関を受診しましょう。
4.うつ病などの精神疾患
うつ病の人は夜中に目が覚めることが多く、再度眠りにつくのが難しいことがあります。うつ病に伴う精神的な疲労感や絶望感が、睡眠の質を低下させる要因の一つです。
以下のような人が発症しやすいとされています。
・完璧主義な人
・対人関係で気を遣い過ぎる人
うつ病による中途覚醒が見られる場合は適切な治療が必要なため、早目に医療機関へ相談しましょう。
5.夜間に何度もトイレに行く
夜中に何度もトイレに行くことも、中途覚醒の原因です。特に、以下のような人に多く見られます。
- 高齢者
- カフェインやアルコール摂取が多い
夜中に何度も目が覚めることで再度寝つくのに時間がかかり、睡眠サイクルが乱れることもあります。水分摂取の管理や、医師の診断が必要な場合もあるでしょう。
6.むずむず脚症候群
特に、以下のような場合に症状が出やすくなります。
- 静止した状態
- 横になっているとき
睡眠中に影響を及ぼすことが多いため、むずむず脚症候群の症状がある場合、適切な治療や対策が必要です。
こちらの症状についてさらに詳しく知りたい方は、関連記事「むずむず脚症候群」をぜひご覧ください。
7.加齢による影響
加齢も中途覚醒の一因です。年齢を重ねることで睡眠サイクルが変化し、深い睡眠時間が減るため、夜中に目が覚めやすくなります。
また、年齢と共に体内時計のリズムが乱れやすくなり、睡眠の質が低下します。さらに、加齢に伴い身体的な不調や慢性疾患も増えることも、中途覚醒の要因です。
睡眠障害による中途覚醒を改善する7つの対策
睡眠障害による中途覚醒は、日常の生活習慣を見直すことで改善できる可能性があります。ここでは、具体的な7つの生活習慣を紹介します。
- 毎日一定の時間に寝起きする
- 呼吸法や瞑想でリラックスする
- 寝室の環境を整える
- 就寝前に飲食しない
- 寝る前のスマホやパソコンの使用を控える
- 日中は適度に運動する
- ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
ひとつずつ見ていきましょう。
1.毎日一定の時間に寝起きする
規則正しい睡眠リズムを保つことは、睡眠障害の改善に効果的です。毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることで、体内時計が整います。
体内時計が乱れると睡眠の質が低下するため、週末も平日と同じスケジュールを守りましょう。
(出典:e-ヘルスネット 厚生労働省(不眠症))
2.呼吸法や瞑想でリラックスする
就寝前に呼吸法や瞑想を取り入れることで心身がリラックスし、ストレスや不安が軽減します。ゆっくりと息を吸い込み長く吐き出すように呼吸することで、心拍数が下がりリラックスできるでしょう。
また、瞑想は心を落ち着けるだけでなく、睡眠前の過剰な思考を抑える効果があるため、夜中に目が覚めにくくなります。ただし、効果には個人差があるため、自分に合ったリラクゼーション法を見つけることがポイントです。
(出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」)
3.寝室の環境を整える
快適な寝室環境を整えることも大切です。以下のように、静かで適切な温度に保つことが理想的です。
・寝室の温度を20℃前後に調整する
・湿度は40~70%
寝具も寝心地の良い自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。
(出典:e-ヘルスネット 厚生労働省(不眠症))
4.就寝前に飲食しない
就寝前の飲食は、消化器官を刺激し眠りの質を低下させます。消化に時間がかかる脂っこいものは避け、胃腸に負担がかからない軽い食事を心がけてみてください。
また、以下のようなカフェインを含む飲み物には、覚醒作用があります。
・紅茶
・エナジードリンク
睡眠に影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ夕方以降は控えるとよいでしょう。カフェインを含まないルイボスティーや、ハーブティーなどがおすすめです。
5.寝る前のスマホやパソコンの使用を控える
就寝前は、スマホやパソコンの使用を控えましょう。スマホやパソコンから発するブルーライトは脳を刺激し、眠りを促すメラトニンの分泌を抑制します。
寝つきが悪くなるだけでなく、夜中に目が覚めやすくなります。代わりに、読書や軽いストレッチ・音楽を聴くなど、心を落ち着ける活動を取り入れるとよいでしょう。
6.日中は適度に運動する
日中に適度な運動をすると、睡眠の質が向上します。運動によって体温が上昇した後、体温が下がることで自然に眠りやすくなります。
例えば、以下のような運動がおすすめです。
- ウォーキング
- ヨガ
- 軽い筋力トレーニング
毎日の生活に、運動を無理なく取り入れることが大切です。ただし、寝る直前の激しい運動は逆効果になることがあるため、夕方までに行いましょう。
7.ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
ぬるめのお湯にゆっくり浸かると、リラックス効果が高まります。40℃前後の温度で入浴することで体温が適度に上がり、体温が下がる過程で自然な眠気が訪れます。
入浴後も落ち着ける環境を整え、リラックスした状態を維持することもポイントです。
睡眠障害による中途覚醒の治療法
睡眠障害による中途覚醒が日常生活に支障をきたしている場合、生活習慣の改善だけでは不十分な場合があります。ここでは、主な2つの治療法を紹介します。
- 薬物療法
- 認知行動療法
また、睡眠障害でうつ症状を発症している場合は、そのうつ症状に対して、上記に加えてTMS治療という治療法があります。
ひとつずつ見ていきましょう。
1.薬物療法
薬物療法は、睡眠障害に対して即効性が期待できる治療法です。脳内の神経伝達物質を調整することで、睡眠を促進します。
主な薬の種類は、以下のとおりです。
- 睡眠導入薬:短時間で作用し、入眠しやすくする
- 抗不安薬:不安やストレスによる不眠に対して用いられ、心を落ち着けて自然な眠りに誘導する
- 抗うつ薬:うつ病や不安障害に伴う睡眠障害に対して効果がある
薬物療法は主治医の指示に基づき、用量・用法を守ることが重要です。
2.認知行動療法
認知行動療法(CBT)は、不安やストレスが原因となっている睡眠障害に効果的な治療法です。
例えば「眠れないのではないか」という不安や、自己否定的な考えが睡眠障害を引き起こすことがあります。認知行動療法では、ネガティブな思考をポジティブに捉え直し、ストレスを軽減する方法を学びます。
3.TMS治療(磁気刺激療法)
TMS治療(磁気刺激治療)は、うつ病治療としてアメリカやヨーロッパでは注目されている治療法です。
TMS治療は、薬物療法で効果を発揮しなかった場合の選択肢の1つです。ただし、効果や安全性には個人差があるため、治療については医師とよく相談しましょう。
治療の詳細は、関連記事「TMS治療」でもご説明しています。ぜひ参考にしてみてください。
福岡天神メンタルクリニックでは自由診療でTMS治療を行っており、日帰り治療も可能です。うつ病による中途覚醒でお悩みの方は、まずは医師にご相談ください。
睡眠障害・中途覚醒に関してのよくある質問
ここでは、睡眠障害・中途覚醒に関してよく寄せられる質問への回答をまとめました。
Q:いつも夜中の2時に起きてしまいます。同じ時間に目が覚めるのはどうしてですか?
A:一定の時間に目が覚める原因として、生活リズムの乱れやストレス・飲酒などが考えられます。
また、体内時計が乱れていることや、睡眠時無呼吸症候群のような睡眠障害が関与している可能性もあります。
長期間続いている場合は、専門医に相談しましょう。
Q:1〜2時間おきに目が覚めるのですが、やはり病気でしょうか?
A:睡眠の質が低下している可能性が高いです。ストレス、不安、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群などが原因となっている場合があります。
頻回に目が覚めて日常生活に支障をきたす場合は、早めに医師に相談してください。
Q:中途覚醒は気にしない方がいいですか?
A:一時的な中途覚醒なら、気にしすぎない方がよいでしょう。ただし、頻回な場合や日中の疲労感が強い場合、何らかの原因が潜んでいるリスクもあります。
生活習慣の改善で解決しないときは、専門医へ相談することが重要です。
まとめ
睡眠障害による中途覚醒は、生活習慣や心理的・身体的な要因が絡んでいることが多く、日常生活に大きな影響を与える場合があります。
睡眠障害は原因に応じた適切な対策をすることで、改善が可能です。ただし、生活習慣の見直しだけでは十分な効果が得られない場合や、日常生活に支障をきたす場合は、専門医に相談しましょう。
福岡天神メンタルクリニックでは、精神科医や国家資格を保有する公認心理師が患者様の悩みに寄り添い、適切な治療を提案しています。当院のカウンセリングや受診予約はこちらをご確認ください。